弁理士の日記念ブログ企画2025に参加しています。今年のお題は「生成AIと知財業界」です。
様々な分野で話題となっている生成AIですが、もちろん知財業界も例外ではありません。
皆さん試行錯誤しながら、生成AIを業務に取り入れる工夫をしているようです。例えば、ChatGPTにクレームや明細書を作成させようとプロンプトを工夫したり、NotebokLMに裁判例を読ませたり、Deepresearchで反論に用いる情報をまとめさせたり、などの話題を目にしたことがあります。このあたりは他の方々が詳しい記事を書かれると思いますので、私は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する、懸賞金の紹介をしようと思います。
「NEDO懸賞金活用型プログラム/GENIAC-PRIZE」に係る公募について(懸賞広告)
3領域が同時に公募されるのですが、その中で、「官公庁等における審査業務等の効率化に資する生成AI開発」が、知財分野に関連する領域です。
内容は、ざっくりいうと、特許審査を補助するAIを開発するというものです。
対象となる審査の部分は、特許の新規性及び進歩性の判断で、主に以下の3ステップを行わせる必要があります(当然最初は、本願発明の内容を把握することから始めることになります)。
- 関連する特許文献を探し出す
- 前記特許文献の中から、本願の新規性・進歩性の審査に必要な箇所を抽出する
- 当該箇所を組み合わせて、拒絶理由通知書の案文を作成する
要するに、特許審査の中心部分をAIに補助させ、審査官の負担を軽減させることを目的としています。
面白いなと思ったのは、文献検索において、特許分類を使用しなくてもよいという点です。AIに任せることで、サーチに従来の手法とは異なるアプローチができる可能性がありますね。
そして、明細書から的確に段落を見つけ出せるか、それらを正しく組み合わせられるかが評価対象となっています。そもそも発明の本質をどれだけ正しく理解させられるのでしょうか。
もしかしたら、出願人サイドでも、出願時に進歩性のチェックが簡単にできるようになるかもしれません。生成AIの可能性は無限大ですね!
優勝すると1億円の懸賞金がもらえるようなので、腕に自信がある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
- 応募〆切:2025 年 12 月上旬
- 事務局による応募書類の確認:2025 年 12 月上旬~12 月下旬
- 事務局による審査期間(デプロイ期間):2026 年1月~3月下旬
- 表彰式(結果発表):2026 年3月下旬
- 応募概要等の公表、成果普及イベント:2026 年3月下旬以降